それは、「治りたい」という気持ち、「このままじゃ終わりたくない」「私だってもっと幸せになりたい」というどん欲さなのではないかなと思うのです。
もう、一生薬を飲み続けないといけないんだな。妊婦禁忌薬ってことは、結婚や出産は諦めた方がいいのかな?代替薬があるっていうけど怖いしな。一生不安を抱えて生きていくんだな。
10年前、私はこんなことを思っていました。私の主治医は心理療法にも力を入れている先生だったので、診察時間にも随分と親身にお話を聞いてくださり、たくさんの金言をいただきました。そのおかげもあって復職した頃のことです。
一生薬を飲み続けた方がいいよ、2年飲まなかったら再発する可能性が高いよ。と言われたからです。主治医は立場上、リスクヘッジと現状維持を優先しておっしゃるので当然といえば当然です。
ちょっぴり気になる男性もいたけれど、薬の副作用で70kg近くまで太ってしまい自分に自信がなかった私。おまけに妊婦禁忌薬を一生飲むのか、もう終わったな。恋愛とか結婚とか無理だな。そう思いました。母には「孫の顔を見せられないからごめんね」と言いました。
しかし、私はそこで思いました。「このまま人生終わってたまるか」「自分が負の連鎖を断ち切る、次世代に引き継がないって、あんなに決意してカウンセリングやセラピーを受けることに踏み出したのに」
私の心の叫びはこうでした。「私だって幸せになりたい」
そこで、主治医にお願いして太る薬をやめ、睡眠薬も一切やめて、気分安定薬も徐々に減らしていきました。(52kgくらいまで減量しました)
会社では吐き気と眠気でフラフラ、1日に30分は机を離れて眠りに行き、そうでなくてもいつの間にか机で寝てしまっていることも多々ありました。「あの人サボってる」と思われていたでしょう。
広告制作なので徹夜も多く、日々ものすごく忙しく働き、わけも分からず過ごしているうちに、薬は一切飲まなくても平気になりました。正確に言うと、もらってはいたのですがだんだん飲まなくなっていました。昼夜逆転で忙しすぎたのもあるし、飲みたくなかったのです。主治医に「ごめんなさい、最近飲んでませんでした」と涙の白状をして、「じゃあ、たまに話しだけしにおいでよ」というお許し(?)をもらい、私は辛い時はいつでも帰れる場所ができた気持ちで嬉しかったのを覚えています。
ということで、10年に及ぶ私の通院・入院・投薬生活は終わりました。2年経っても再発はしませんでした。ちょっと、ソワソワするな、鬱だな、と思うことはあるのですが、メンタルコントロールができるようになったのです。
皆様は勝手に薬を飲まないのは真似しないでとお伝えしますが・・・リスクをとっても、もう一段階上を目指したい(薬をゼロにしたい、復職したいなど)と思って、主治医に相談してもいいと、私は思うのです。復職した時も、本当は週3くらいでと言われたのですが、「これは逃したくない」と思う仕事があったので、主治医に頼み込んで少し無理をしてフルタイム復帰をしました。(その前に、1年間、週2のパートを挟んでいます。振り返れば、結果大忙しだったので、だいぶ無理をしたことになりますね)
最近、振り返ってみたのです。私は身内をメンタル疾患で亡くしていますが、何で私は治ったのかなと。
もちろん、主治医が心理療法にも力を入れていて投薬+カウンセリングのW療法だったこと、家族や友人の支え、いろいろあるのですが、「治りたい」「このまま人生終わってたまるか」という意地、「私だって幸せになりたい」という欲があったからかなと思うのです。もちろん、自殺は不慮の事故みたいなものなので、私も一歩間違っていたらこの世にいなかったかもしれませんが、意地とどん欲さはすごくあったのではないかなと思います。
メンタル不調になる方は、真面目であったり、繊細であったりする方も多いと思いますが、もっと幸せになることにどん欲でいい、わがままにいろんなことを叶えていい、そうお伝えしたいのです。一度きりの人生で、自分を幸せにしてあげられるのは、自分しかいません。どうか、自分で自分を見捨てることだけはしないでくださいね、というメッセージを込めて。