カウンセリングでよく扱うのが「不安」です。

不安があるからカウンセリングを受けようとするわけですが、よく考えてみると不安がまったくない、という人はいないのではないでしょうか。

つまり、不安があってもそれを強く感じる方とそうでもない方がいる、ということですね。今回は、不安の要因と、対処法について考えてみたいと思います。
特に、漠然とした不安がおありの方には、ご参考になりますと幸いです。

不安にはどんなものがある?

まず、どんな不安があるかについて考えてみました。

変化することへの不安

入学、就職・転職、昇進、起業、結婚、出産など、新しい生活への不安は誰しもが感じるものなのではないでしょうか。人間は「現状維持」が一番楽であり、安心・安全なので、「変化」には恐れや不安が伴います。ライフステージの変化だけでなく、未経験のジャンルに挑戦することも不安を感じやすい面があるかと思います。

これは、事前に調べたり、経験者に話を聞いたり、勇気を出してチャレンジすることで解消されていくことも多いでしょう。

分からないことへの不安

「好きな人の気持ち」「未来の状況」など、自分がどう頑張っても分からないことに対しても、不安を感じやすいと思います。

これは、どう頑張っても「分かる」ことはできないので、自分にできることを行動してみるというのが対処法の大枠となるかと思います。

知らないことへの不安

また、「お金の不安」や、「健康の不安」など、知らないことも不安になる要素のひとつです。

金融リテラシーを身につける、FPさんに相談する、病気の知識を得る、受診するなど、「知る」ことで軽減できるものは意外と多いのかもしれません。

漠然とした不安

鬱などのメンタル不調、幼少期の体験や過去の心の傷などからくる慢性的な不安は、「漠然とした不安」と言えるかもしれません。もちろん、変化・分からない・知らないことへの不安も含めてなのですが、特に何かがあるわけでもないのに、漠然とした不安を強く感じてしまうことがあるかと思います。

この場合、信頼できる人に話す、心療内科を受診してカウンセリングを受ける等も有効かと思います。

それ以外の方法について、以下でご紹介していきます。

不安を和らげる方法

不安を行動に変える

さて、上記で挙げた不安のうち、どれも当てはまる、という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
まずは、自分でコントロールできるものか否かを考えて、仕分けするのがおすすめです。

「相手が自分のことを好きか否か」「嫌われたらどうしよう」「病気になったらどうしよう」「事故に遭ったらどうしよう」など、どう頑張っても自分でコントロールできないものは、脳内のぐるぐる思考を止めて、「今自分にできること」を書き出してみましょう。

例えば、「相手が自分のことを好きかどうかは分からないけど、会っている時間を楽しむ」「健康的な食事と運動を心がける」などです。

人とつながる

特に、漠然とした不安について言えることなのですが、日常的に「人とのつながりを持つ」というのも、おすすめの方法のひとつです。

もちろん、心療内科でカウンセリングを受けたり、投薬を試すのも一つの手です。

ですが、それも含めて、人は人とのつながりを感じられていると、不安に意識が向かないという側面があるように感じます。

居心地の良い、無理せずつながれる場所をいくつか持っておくのは大切かなと思います。依存でも、自立でもない、「相互依存」の関係がポイントだとお伝えしたいです。

やるべきことをつくる

人は目標(大きなものではなくても良い)があると、それに向かって頑張れるという面がありますね。また、やるべきことがあると集中できるため、脳内に不安が入り込む隙間がなくなります。

私が、「その方らしく生きる」ことを重視しているのはこのことも大きいです。やはり、自分に合った生き方をしていないと、どこかで歪みが生まれるように思います。

些細なことでもいいので、「こうなりたい」「こうありたい」という軸があると、それに沿って「やるべきこと」が見えてくるのかもしれません。

また、特に目標がなくても、チームで何かを達成することが好きな方や、誰かの役に立っていることで喜びを感じる方もいらっしゃいます。そういった方は特に、やはり人とつながれる場があるとよいのかなと思います。

さらに、何かに熱中・没頭するタイプの方もいらっしゃいますね。趣味や推し活などです。こういった方は、その活動に忙しいので、比較的不安にはなりにくい傾向があるのかもしれません。

「心の中に<不安>がうずめくスペースを、何かしらの方法でつくらない」のがポイントなのかと思います。

自己信頼は不安への対処法の一つ

前述のように、自分でコントロールできないものは悩まないという方、仕事や趣味など何か没頭できるものがある方は、不安を感じにくいのかなと感じます。

そして、「なんとかなる」という感覚がある方も、不安に飲み込まれることは少ないのかもしれません。
ある意味、不安になりやすい方は「リスクヘッジ」の能力がすこぶる高いのかもしれませんね。(長所です!)

この「なんとかなる」という感覚は、「自己信頼」です。

皆様も、不安でいっぱいだったけど、いざその時になったらなんとかなった、というご経験はおありかと思います。
その時の自分を、ぜひ思い出していただけたら幸いです。

いかがでしたでしょうか?
最後に、元も子もないことを言いますが・・・

正直、人生に不安はつきもの。あまり「不安を無くしたい!!!」と思わずに、不安と手を取り合って、うまく付き合っていく、という考え方もあるのではないでしょうか。

不安があるから、人と繋がれる。未来をより良くしていける。

みんな、誰しもが不安なのです。
どうか孤独にならずに、人とつながり合っていきましょう!