人と親密になれない、信頼関係がうまく築けない、本音を言えない、などのご相談をいただくことがあります。
いろいろとお話をお伺いしていく中で、「まずは自分との信頼関係を築いていこう」という方向性のお話になることが多いです。
それは、本当の自分を知られたら嫌われてしまうのではないか、本音を言ったら拒絶されるのではないか、そんな潜在意識が隠れていたりするからですね。
幼少期に本当の自分を出せない環境で育った、本当の自分を出して否定された経験があったケースも多いです。
または、ある程度大きくなってからでも、人からひどく傷つけられたり、裏切られた経験がトラウマとなり、「人と信頼関係を築ける自分」を疑ってしまっている状態、つまり、自分との信頼関係が築けていないということもありすね。
誰が言った言葉なのかわからないですが、人で傷ついたことは人でしか癒せない、これは本当だなと思います。
ゆっくり、少しずつ、じっくり、自分との信頼関係を回復していくことがカギになります。
具体的に、おすすめの方法を書いてみますね。
(1)辛かった出来事への対処
辛かった出来事を無きものにすることはできません。
辛かった、悲しかったという感情を見て見ぬふりをしたり、抑圧しても、あとからムクムクと湧いてきたり、爆発してしまったりしてしまいます。
悲しかったよね、辛かったよね、と、当時の自分の気持ちに寄り添ってあげてくださいね。
恨みつらみを紙に書いて破り捨ててもいいし、布団を叩いてもいい。
あなたの悲しみはあなただけのものです。比較もできないし、人がとやかく言えることじゃないんです。
しっかり、悲しい気持ち、悔しい気持ち、恨みつらみ、感じ切ってあげてください。
あなたを傷つけた人を許せないなら、無理に許す必要はありません。
ただ、あなたを傷つけた出来事や人のために、これからの人生を無駄にしないと決めていただけたら嬉しいです。
今、ここから、幸せになることを、自分に許してあげてくださったらと思います。
(2)自己開示の練習
ちょっとずつ、自分の気持ちや本音を話してみる練習をしてみませんか。
「いい子でいないと」「ちゃんとしなきゃ」そんな「ねばならない」から解放されると、とっても楽です。
あなたは、誰かの期待に応えるために生きているのではありません。幸せになるために生きているんです。
ただ、話す相手はちゃんと選んでくださいね。
あなたのことを大事に扱わない人からは、離れていいんです。無理に仲良くしなくていいし、嫌われたっていい。
自分を大事にするためにも、あなたのことを大事に扱わない人とは、きちんと距離を置いてください。
あなたのことを、しっかりと行動を伴って大事にしてくれる人に、話してみたくなったら、自分のことを話してみてくださいね。
もしハードルが高かったら、あなたがまず「相手の話を聞いて、受容してあげる」ということにチャレンジしてみてください。きっと、相手もあなたを信頼してくれます。
このお話は、(3)に繋がります。
(3)自分から与えてみる
自分との信頼関係を築くためには、自己肯定感や自己効力感を取り戻すことが大切です。
でも、自分で自分を認めるって、なかなか難しいですよね。
もちろん、私のいいところってどこかな?と聞いてみてもいいし、人から褒められたことをメモしておくなども有効です。
ここでおすすめしたいのが、「与える」こと。
人の役に立つこと、人を喜ばせることを意識的にやってみること。
そのことで、自分は誰かの役に立っている、喜ばせられると、自己肯定感や自己効力感、自尊心が戻ってきます。
ささやかなことで、いいんですよ。
(2)の最後にお伝えした、「相手の話を聞いて、受容してあげる」こともそのひとつです。自分の価値観や判断、評価のフィルターを通すことなくお話を聞いてあげて、受容してあげる。心の傷が理解できるあなただからこそ、できることです。
ときには、受け取ってもらえないこともあるかもしれません。
ですが、私が以前、師匠に言われたことをお伝えしますと、「受け取ってもらえないことが辛いことだって分かる。あなたも、自己肯定感が低くなって受け取れないことがあるでしょ?自分が受け取らないことで、けっこう相手も辛いんだよって、分かるよね」
これはなかなかぐさっと来ました(笑)
私なんて幸せになる価値がない、私なんて愛や優しさを受け取る価値がないと、どれだけ拒絶しただろうかと。
与えて、与えられる、相互依存の信頼関係を目指していきましょうね。
自分との信頼関係を築くためには、まず自分の心と向き合って、自己理解を深めることが大事です。
自己理解に、カウンセリングもぜひご活用ください。